千葉の杉、サンブスギを使う理由|地域産材製品化への取り組み


千葉県内の地域産材「サンブスギ」の間伐材に、新しい生命を吹き込みました。
◎放置される間伐材の活用が課題に
国土の約7割が森林という世界でも有数の森林大国日本。日本人は植林・育林・伐採を繰り返し、伐り出した木を建築資材として利用することで森を循環させ、育ててきました。しかし日本は、自国に豊富な木材があるのに、木材の7割以上を輸入に頼る木材消費国でもあります。循環が滞り、整備がされなくなった日本の森はいま荒廃が進んでいます。

 サンブスギの間伐材

千葉を代表するブランド樹種、「サンブスギ」。挿し木によって250年以上も前から造林されてきました。曲がりがなく、断面が円に近く、淡紅色で美しい。建具材として高い人気を誇ってきたのです。しかし近年では輸入材の増加と相まって「サンブスギ」の森は放置されたままに。山に置き去りにされた間伐材は数知れません。日光が届かず、森は栄養失調の危機に瀕しています。

千葉県内のサンブスギの分布図

◎間伐材を利用した製品開発への取り組み
少しでも多くの国産材を使うことで、日本の森を育てる力になりたい――集成材メーカーとして長年培った乾燥・加工技術によって、国産スギを内装材として甦らせよう。そう考えた私たちティ・エス・シーは、2010年、国産スギの間伐材を使った無垢集成材の開発に着手しました。

スギの無垢材は温もりや柔らかさ、調湿機能などによって、人にさまざまな良い影響をもたらすことで知られています。その半面で、反りや割れなどが起きやすい扱いの難しい材という性格も持ちあわせています。どうしたらスギ無垢材の良さを活かし難点を低減できるのか……。試行錯誤を重ね、2年半後に完成したのが無垢集成材ブロック床材*「やすら樹」です。遠赤外線低温乾燥したスギ材を直交に積層することで反りや割れなどのリスクを大幅な低減に成功しました。
*実用新案登録第3191176号「無垢集成材のブロック床材」

ティ・エス・シー本社工場

◎森林整備・保全の一助に
この取り組みにより、使いみちのなかった貴重な資源を有効活用できるようになりました。大切なふる里の森林整備・保全につながり、また、国産材を使うことでC02削減にも貢献。県内の林業の活性化も期待できます。森の恵みを未来に伝え、自然の循環をしっかり捉え、ティ・エス・シーは地球とお客様に喜んでいただける商品提案をこれからも続けてまいります。

◎国産木材の公共施設への活用にも協力
地域産材の活用という点においては、国の施策である「新成長戦略:21の国家プロジェクト」の一環として、林業振興を目的とした「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が平成22年に制定されました。ティ・エス・シーでは、千葉産材だけでなく関東一円の多摩産ヒノキ、埼玉県産ヒノキなどの間伐材を活用した建築用集成材の製品化にも取り組み、これらの法律による低層(3階もしくは2 階建て以下)公共施設の木造化の促進にも積極的に協力しています。

公共施設への納入実績
○東京都中央区立中央小学校・幼稚園建築工事:(多摩産ヒノキ集成材)
○千葉県富浦学園居住棟建築工事:(千葉県産サンブスギ、壁パネル・集成材)
○埼玉県本庁舎内部改修工事:(埼玉県産ヒノキ階段手摺)
○埼玉県松伏中学校体育館大規模改修工事:(埼玉県産ヒノキ壁パネル)
○千葉県南房総市立富山小中一体化施設工事:(南房総市学校林-スギ集成材)
○千葉県木更津市立清見台小学校体育館建設工事:(千葉県産杉パネル)
(その他、納入予定物件多数)

千葉県南房総市富山小中一体化施設
南房総市 富山小中一体化施設

千葉県富浦学園居住棟
千葉県 富浦学園居住棟